壺坂霊験記

壺坂霊験記

西国三十三箇所の一つ第六番札所の大和、壺坂寺の霊験を題材にした物語です。
明治十二年(1879)に初演されています。
この物語は、大和壺坂に住む沢市の家の中の壺坂寺の山の場面とに分かれ、
『沢市内より山』として二幕演じられますが、今回は山の段を鑑賞して頂きます。

あらすじ

この物語は、大和壺坂に住む沢市の家の中の壺坂寺の山の場面とに分かれ、『沢市内より山』として二幕演じられますが、今回は山の段を鑑賞して頂きます。沢市とお里夫婦は、仲睦まじく細々と暮らしています。沢市は目が不自由なので三味線の稽古などをして、お里の縫い物などの賃仕事が頼りです。お里は、沢市の目があくようにと壺坂寺へ毎夜、お参りに行っています。それに沢市は疑いを持ち、問い詰めますがお里から事情を聞いて、沢市は貞節な女房を疑い続けた事を詫びます。二人は壺坂寺へ一緒にお参りしようとでかけてます。

壺坂寺への山道。観音堂へつくと、沢市は三日の間断食をすると言いお里は家へ用事を済ましに帰ります。一人残った沢市は、お里があのように願ってもかなわぬ事、目があく望みはないと悲観して谷へ身を投げます。そうとは知らずお里が帰ってきます。見えぬ姿を求め名を呼びますが、断崖の上に残された杖を見つけて狂わんばかり泣き叫びます。しかし、ついにあきらめ同じ断崖から身を投げます。

夜もふけて、気高き観音の姿が崖の上に現れます。観音はふたりの深い信心により命を助け目もあけてやると告げます。

夜が明けた谷間に沢一とお里は起き上がります。ふたりは命が助かり、沢市の目が開いていることに驚き、喜び、そして萬歳(めでたいときの踊り)を舞います。